山田六郎 weblog

大阪名物くいだおれ幻の三代目にして経営/観光/広報コンサルタント山田六郎が実名で執筆する有責任ブログ
経営学や観光振興についての諸問題が一応テーマですが、身辺雑記、論理的哲学的思考からみた世の中の矛盾についても書いてます。
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観光振興のH History

2010/02/27 土 | 研究 > 観光学 > 観光振興のAtoZ

ずっと、観光振興にはその土地の歴史や伝説を有効に活用せよと私は説いてきた。
これは観光地への興味をひき、そこへ物語性を付与し追体験してもらうという経験価値を盛り上げるためにも必要不可欠。しかも誰もが理解できる手法である。

別にわざわざ私ごときが説く必要もなく観光振興を志す団体は全部が全部、この研究に努力することになる。
しかしイベント一つするにせよ、思いのほかうまくいくケースもあれば、案外盛り上がらないケースもある。

その要因は何だろう?
それを考えることと、どうすれば有効にその作業ができるかを述べたいと思う。
まず、地名から由来をとる手法。
今朝のテレビで、財政破綻寸前の嬬恋村が、キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶイベントをやって集客していることをとりあげていた。
これは民間の人のボランティアで大きく観光客を伸ばしているすばらしい好事例だが、これも嬬恋という地名の由来からイベントを仕掛けたやり方だ。
遠くヤマトタケルが亡き妻を偲んでついたという地名から、愛妻家の町というコンセプトでの町おこし、それにみあったイベントを仕掛けたところが肝だ。

土地の伝説からとる手法。
この伝説は、記紀に記され教科書にのるような全国的に有名なものから地元しか知られていないものまで様々である。
その伝説も、実際にあったかどうか分からない昔から、明治以降の比較的きちんと記録が残っているエピソードまで様々。

掘り起こしのテクニックとして、いろいろな古典文書をあたること。
当たるべきは、古事記、日本書紀、万葉集、古今和歌集等の勅撰和歌集、風土記、延喜式、御伽草子、平安の女流小説、平家物語などの軍記物、随筆、芭蕉俳句、東海道中膝栗毛などの江戸期の滑稽本。
ありとあらゆる古典をすべて当たる作業が必要である、それもできる限り古文書などオリジナルに近いかたちで。

その作業の中で、例えば道頓堀でお椀レースのイベントが生まれたのだ。
単発だったけどタケヤミソがスポンサーとなって資金も回収できた。
これなどは、近年おとぎ話が「昔々あるところに」と明治以降に地名をぼかす弊害から知られていないが、きちんと江戸期の本には、「津の国難波生まれの一寸法師」と地名が書かれている。
そして、道頓堀(平安時代にそもそも道頓堀はないのだが)から京の都にのぼったということにして、人が乗れるお椀をつくってレースをして見せたのだ。
参加者は地元の商店会対抗チームだけど、みんなボートの経験もない素人ばかり、一般人も参加できた。

それらを見るに、単に歴史をなぞったり、歴史絵巻を再現するのみでは、これからの観光振興サバイバル時代には、同じように歴史をネタとしてもイベントの成功要因たりえないのではと思う。

歴史から得た意味あいを活かした上で、それを現代の世相にも通用するように、また現代の世相の問題点を解決する手段として再定義し、歴史に興味や関心の無い人にもわかりやすく楽しくする。 そうするとニュース性が出て、知名度がメディアを通して一気に広がっていく。
故事来歴を知るのは現地に来たりした後でも十分。
逆に歴女含めた一部の歴史マニアだけの楽しみで終わってしまうようでは、観光振興としての広がりはなくなるのだ。
今の戦国ブームもいつまで続くかわからない。

例えばもしもの話である。嬬恋村もヤマトタケルに扮した人がなにやらやってそれを見物するのであればここまで盛り上がらなかったでしょう。
現代の愛妻家たちを集めて、広大なキャベツ畑というこの村の特徴的な風景を背景にした「絵になるイベント」にし、だれでも思い当たるけど普段は言えないという昨今の世相を加え、「愛妻」の気持ちを広い畑の中で告白するというイベントにしたのである。

そしてそのイベントは、地元民のみではなくよそから来た観光客も参加できて一緒に楽しめる愉快な要素がなければならない。

見るだけ、聞くだけではよほど世間に知れ渡っている既存の行事でないかぎり、集客を増やしていくのは難しい。

その上で、参加者を募集する時点で、すでに宣伝活動に入っていることと思わなければならない。

いきなり来週やりますよ、という発表して新聞や雑誌に載るよりも、かなり前の時期から参加者募集ということでアナウンス効果が出るし、予定も立てやすくなる、参加者も観光客もその心づもりをすることができるし、メディアも取り上げやすくなるのだ。

これらはイベントのみならず、観光地のコンセプト作りや戦略的訴求ポイントの策定にも当てはまることである。

歴史はネタ元として大切だけど、H2Oのひとりよがりにはなってはならない。これが鉄則だ。

でもって、どうやって探すかという次に、忘れないでほしいテクニックは、歴史年表をいちど作ってみることである。
その上で年表には日付もいれ、平行してその歴史的イベントがおこなわれた日を、年中行事予定に加えた歳時記も作成する。

昔起こった事件や物語はいつの時点の、どの月のどの日だったのか。そこまで詳しく調べると由来に信憑性が出てきて分かりやすくなるとともに、○百周年という節目を目的に、大々的に何年も前から準備することも可能となるからである。

それを作るのは地元の小学校や中学校。総合学習や歴史研究として、地元の古老に聞きまわるというのがテクニック。これなら予算もいらない。
その年表や歳時記は、毎年いつごろにイベントを仕掛けるたりいつごろ観光客に来てもらうべきかという見当をつけるにも有効なテクニックである。
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