【要注意】似て非なる資格!「労務管理士」と「社会保険労務士」の決定的な違いとは?

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「労務管理士資格認定講座」なるチラシが本日郵便受けにポスティングされていました。社会保険労務士の事務所(”法務労務事務所”と明記してる)なのになかなかチャレンジャーなチラシです。

労務管理士

「労務管理」と聞くと、人事・総務に関わる方なら誰もが身近に感じるテーマでしょう。インターネットで情報を探していると、「労務管理士」という資格を目にすることもあるかもしれません。

しかし、もしあなたが「労務管理のプロになりたい」「独立して企業の相談に乗ってみたい」と考えているなら、ちょっと立ち止まってください。
この「労務管理士」という名称、実は国家資格の「社会保険労務士」とは全く異なるものなんです。

今回は、この二つの資格の決定的な違いと、なぜこの違いを知っておくべきなのかを解説します。

1. 国家資格 vs 民間資格:信頼性の根幹

まず、最も重要なポイントからお伝えします。

 * 社会保険労務士(社労士): これは国家資格です。
厚生労働省が管轄し、社会保険労務士法という法律に基づいて制度が成り立っています。
試験の合格基準や業務範囲は法律で厳格に定められており、その専門性や信頼性は国によって担保されています。

 * 労務管理士 : これは民間資格です。
一般社団法人日本人材育成協会や一般社団法人日本経営管理協会など、複数の民間団体がそれぞれ独自に認定しています。
各団体が独自のカリキュラムや試験を設定しており、その内容やレベルは団体によってバラバラです。

社会保険労務士が「国のお墨付き」であるのに対し、労務管理士は「民間団体のお墨付き」という違いがあります。
ただ、このような民間資格は履歴書に書いても何の評価もされませんし、転職で役に立つこともないでしょう。

2. 独占業務の有無:「労務管理士」にできること・できないこと

ここが、プロとして活躍したいなら絶対に見逃せないポイントです。

 社会保険労務士: 法律によって定められた**「独占業務」**があります。

   * 労働社会保険に関する書類の作成や提出代行

   * 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成

   * 労務管理に関するコンサルティング

     これらの業務は、社会保険労務士の資格を持つ人しか行うことができません。もし資格がない人が独占業務を行えば、それは法律違反となります。

 * 労務管理士: 独占業務は一切ありません。
そのため、労務管理士の資格がなければ行えない仕事は存在しません。
企業内で人事・労務の知識を深めるために学ぶ、という目的であれば役立つかもしれませんが、外部の企業から依頼を受けて報酬を得るような「士業」としての活動は、この資格だけでは基本的に不可能です。

例えば、会社の社会保険の手続きや就業規則の作成・届出は、労務管理士では代行できません。
これは、税理士でなければ確定申告の代行ができないのと同じ理屈です。

3. 名称の紛らわしさ:「労務管理士」って資格?誤解を招くリスク

なぜ、「労務管理士」という民間資格が存在し、しばしば混同されるのでしょうか?

一つには、その名称の類似性が挙げられます。パッと見ただけでは、国家資格の社会保険労務士と区別がつきにくいですよね。

さらに、複数の民間団体がそれぞれ「労務管理士」という名称を商標登録しています。
これは、自らの認定する資格名を保護する目的で行われるものですが、この状況が、一般の方にとって「どれが本物?」「どんな違いがあるの?」といった疑問や混乱を生じさせているのも事実です。
また過去には公正取引委員会から国家資格と紛らわしいとされたこともありました。

なぜ、この違いを知る必要があるのか?

あなたがもし、

 * 企業の人事・総務担当として、法律に則った正確な知識を身につけたい

 * 将来的に独立して、企業の労務課題を解決するプロフェッショナルになりたい

 * 労務に関するトラブルを未然に防ぎ、企業の発展に貢献したい

と考えているのであれば、国家資格である社会保険労務士の取得を強くお勧めします。

社会保険労務士は、その専門性と独占業務によって、企業経営において不可欠な存在です。
法改正への対応、複雑な手続き、従業員とのトラブル解決、人事制度の構築など、幅広い分野で企業を強力にサポートできます。

一方で、「労務管理士」は、企業内での自己啓発やスキルアップの一環としては有効な場合もありますが、それだけで専門家として独立したり、社労士の独占業務を代替したりすることはできません。

最後に

私たちは社会保険労務士として、企業の皆様や働く方々が安心して労務管理を行えるよう、日々サポートさせていただいています。

もし、労務管理や社会保険について疑問や不安があれば、ぜひ国家資格を持つ社会保険労務士に相談ください。法律の専門家として、皆様に正確で信頼できる情報とサービスを提供することをお約束します。

労務管理は、企業経営の土台となる非常に重要な分野です。正しい知識と適切な専門家のサポートを得て、健全な職場環境を築いていきましょう。

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